« Bebe Neuwirth | トップページ | Sunday in the Park with George »

Theatre Reviews

  日本では「ニューヨークタイムズ」というとその国際政治報道に関心が集まることが多い。もちろん、国際政治報道は「タイムズ」の目玉商品の一つだが、「タイムズ」はアート批評にも非常に力を入れている。

 特に、初日翌日のブロードウェイの劇評は、その芝居の興行上の成否を決するほどの影響力を誇る。洗練された現代英語を駆使した批評は、新聞を読む愉しみを十二分に与えてくれる。

 アメリカの新聞社の生き残り戦略について講演するとき、私は必ず最後にこの劇評の話題を持ち出す。原稿でも「日経広告手帖」20069月号http://www.nikkei-ad.com/techo/top_2006.html)ほか、機会があれば欠かさずこのことについて執筆している。

 ネットの時代に新聞が生き延びていくためには、破壊的イノベーションを起こして従来の方法論とは異なるメディアを創造すると同時に、報道や論評においてはただ情報を右から左に流すのではなく、その新聞でなければできない付加価値を加えて記事を執筆していく必要がある。

 アート以外の分野を取材している記者でも、アートに接してセンスを磨き発想を豊かにしておくことは有意義なことだと私は考える。「タイムズ」のOp-Edコラムニストの一人、フランク・リッチは観察力豊かなコラムでファンが多いのだが、彼はブロードウェイの劇評記者を経て、Op-Edコラムニストに就任している。演劇を通して人間と社会を深く考察してきたからこそ、政治や社会問題について執筆しても読み応えのあるコラムが書けるのである。

私が「タイムズ」を愛読するのは、美しくひきしまった紙面のレイアウト、アート批評やOp-Edコラムに見られるシャープでウィットにとんだ批評、「ニューヨークタイムズマガジン」に見られる読ませるフィーチャー・ストーリーなどに魅力を感じるからである。

 「タイムズ」も様々な問題点を抱えているのは、ステファン・エルフェンバイン著『ニューヨークタイムズ-あるメディアの権力と神話』(木鐸社)の翻訳作業などを通じ、私も承知はしている。それでも「タイムズ」の洗練されたセンスは私を魅了してやまない。

« Bebe Neuwirth | トップページ | Sunday in the Park with George »

ジャーナリズム」カテゴリの記事

ブロードウェイ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/347183/6082308

この記事へのトラックバック一覧です: Theatre Reviews:

« Bebe Neuwirth | トップページ | Sunday in the Park with George »