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2007年4月

How to Watch TV

 生盛健氏の「アメリカTV/映画ノーツ」は、アメリカのテレビについて扱うサイトの中でも、とりわけ私が愛読してきたサイトの一つ。

 残念ながら生盛氏にお目にかかったことはないが、アメリカのテレビについて、私はこのサイトから多くを学んできた。お勧め。

http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/2064/

Chemistry

 ロージー・オドネルが、ABCの朝11時からの番組 The View を降板することを発表した。

 ドナルド・トランプとのバトルなどで番組の視聴率は上がったそうだが、他のホストとかみあわない状態でこの先3年、5年と番組を続けていくのはまず無理である。ABCはロージーとの契約を3年ほど延長したい意向だったようだが、そうしたらいずれ番組は破綻していたであろう。

 偉大なるマンネリ番組として成功するためには、リージスとケリー・リッパのように、ホストどうしの間にケミストリーが働くことが必要である。そして、名コンビというのは中々成立しない。

 The View がホスト探しに失敗すると、番組がキャンセルされることもありうると思う。

Regis is back!

 リージス・フィルビンが無事に番組に復帰した。

 デイビッド・レターマンが復帰したときよりリージスははるかに元気で、とても手術後には見えない。

 そして、ゲスト出演は滅多にしないレターマンがゲストとして登場し、手術について番組後半では医師もまじえていつもより真面目に語り合っていた。

 だが、その日の夜のレターマン・ショーでは、絶対にやると思っていたが、レターマンはリージスをきちんとちゃかしていた。

 9・11後にレターマン・ショーが再開したときもリージスをゲストに迎えたものであったし、この二人は本当に息がぴったりあっている。

Piglet's House

  プーさんにはクラシック版とディズニー版がある。私はどちらも好きだが、どちらか一つと言われたら、クラシック版を選択する。クラシック版の朴訥とした味わいがたまらない。

 私は100エーカーの森を訪ねたことはなく、いずれ一度は訪れたいと思っている。

 下記のぴぐりんさんのサイトPiglet's Houseでは、この森を訪ねた記録が掲げられている。愛情に満ちた素晴らしい旅行記である。グッズのコレクションの写真も大変充実している。一見の価値あり。

 http://www2.odn.ne.jp/~cag24110/index.htm

Legs

  私は、アメリカで売られている、ディズニー版くまのプーさんのネクタイを持っている。プーさんグッズの中でも、ネクタイは比較的珍しい品なのではないかと思う。

 ただ、プーさんの足が長い。やっぱりプーさんは短足じゃないとプーさんじゃないと思うのだがどうだろうか。

Hickey Freeman

 もう1年は続いているだろうか。男の子2人がジャケットをたくみに着こなし、不敵の笑みを浮かべるヒッキー・フリーマンの広告。私は嫉妬心はあまりない方だと自分では思っているが、この広告にはそれを感じてしまう。

 確かに、こうして子供の頃から着こなしを学んでいけば、紳士の装いが身につくだろう。でも、子供はもっとのびのびとという思いも一方では感じる。

 この項を書いている時点では、下記のヒッキーのトップページは、この子たちの写真をフィーチャーしている。

 http://www.hickeyfreeman.com/website/default.asp?s_id=1&

 今、アメリカで最も話題の広告となるとCavemanなどがすぐに思いつくが、私的にはヒッキーの広告の方が遥かにインパクトを感じる。

David Halberstam

 デイビッド・ハルバースタムが交通事故で亡くなった。享年73歳。

 かつて『ベスト・アンド・ブライテスト』や『メディアの権力』をむさぼり読んだ者としては、こんな形であっけなくハルバースタムが世を去るとは思わなかった。哀悼の意を表したい。

Translation

 プーさんに関する話題を続けると、石井桃子訳『クマのプーさん』について、アマゾンの読者書評でShakti氏が「子供のための新訳が必要」と書かれているが、これはその通りだと思う。

「クマのプーさん」という訳を考えられたのは石井氏であり(最初は「熊のプーさん」)、この訳のセンスはとてもさえていると思う。

でも、日本語が古くなったのは明らかで、原書で読むよりつっかえる箇所が多い。やはり、石井氏の訳は訳として異なる翻訳も現れるべきであろう。

Conflicts

 授業で時々、プーさん裁判について話すことがある。

愛くるしいプーさんとその裏での権利関係をめぐるいざこざのコントラストが大きく、知的財産のあり方について考える上で格好の素材だからだ。

プーさん裁判について考える上でお勧めなのが、下記のFortuneの記事。誌面に掲載されたプーさんのぬいぐるみの写真はことのほかかわいいプーさんで、醜い争いを報じる本文と好対照。ネット上にも写真が掲載されるとより面白いのだが。

http://money.cnn.com/magazines/fortune/fortune_archive/2003/01/20/335653/index.htm

Citation

 新聞社のデジタル戦略についてであるが、新聞社は完成された記事をネットに掲げるだけではすまなくなっている。ニュースは24時間休みなく動いており、サイトも24時間休みなく更新することが求められるようになった。

ここで一つ問題になるのは、サイト上で更新中の記事と紙面に掲載される完成稿の記事の区別についてである。取材が進むにつれサイト上の記事も書き換えられていくが、取材途中の記事は紙面に掲載される記事と比べると完成度は低い。

NYTもWSJもWPも、紙面に掲載された記事は本日の紙面として別枠でサイトに掲げているが、この区別をあまり気にしていない読者も少なからずあるようである。

 となると、例えばオンライン版のNYTからの引用をオンライン版と断らずに引用されている場合、引用された一節を確認しようとしてNYTのアーカイブにあたっても、その一節は紙面では削られ見つからないということも起こりうるわけだ。

 この点はこれまであまり講演でふれてこなかったポイントなので、今後は言及していくようにしたいと思う。

Chicago and Los Angeles

 ここ数日、講演の準備のため、アメリカ新聞界の動きでフォローが十分でないものについて資料を読み込んでいる。

 昨日はトリビューンの非上場化について調べていた。

私はシカゴもロサンゼルスも詳しくない。でも、両者が個性の異なる街なのは明らかで、しかもこれだけシカゴの首脳陣と「ロサンゼルス・タイムズ」の編集局が対立してきたのだから、ここで両者は別の道を歩むべきだと思う。

トリビューンの首脳陣がサム・ゼル氏を気に入った理由の一つは彼がシカゴ生まれだったことにあるようだが、ロサンゼルスの人も名乗りを上げているのだから、ゼル氏はLATをロサンゼルス人に売却すべきであろう。

Spider-Man The Musical

 「スパイダーマン」のブロードウェイ・ミュージカル版。本当に実現するのかなと思っていたら、4月20日付の「ニューヨークタイムズ」に記事が出るところまで来た。ディレクターは「ライオン・キング」のJulie Taymor。音楽はBonoThe Edge

 ピーターパンよろしくスパイダーマンが宙をまうことになるのだろうか。楽しみである。

Objectivity

私のブログは検索エンジンで上位に来るものが多いようだ。それだけロングテールな話題について書いているということである。

アクセス解析を見ると検索エンジンで調べてこちらにお越しの方が少なくない。となると、私の書いた文章が検索して初めて得る情報という方もいらっしゃるわけだ。

縦横に検索して情報を吸収していく時代になったとはいえ、最初に接するのが私の文章となると、客観的に書かないといけないのかなと考え込んでしまう部分がある。

ここまでのところはわりと事典的な書き方をしてきているので、これをさらに徹底すべきなのか、もう少し書いてみてまた考えてみたい。

Jim Cramer

  一つ前の項目のCNBCに話を戻すと、Maria BartiromoがCNBCの顔であることに変わりはないものの、最近はJim Cramerの方がバズ・メイカーとして話題度は高い。

 クレイマーの担当する番組Mad Moneyは、元ヘッジファンド・マネジャーの彼が、視聴者からの電話での質問に答えながら投資指南する番組。クレイマーと視聴者は「ブーヤー」と挨拶するのがお約束。

 テレビ番組というよりはラジオ番組の収録をテレビで流している趣で、クレイマーが投資哲学と個別銘柄の売買の判断について熱く語る番組である。Mad Moneyとはまた適切な番組名をつけたもので、この番組を見ていると私は往年の名画「ネットワーク」を思い出す。

 彼の投資哲学は、分散投資しながら、部分的に攻めの投資をしていくというもの。インデックス・ファンド派からすると彼の哲学は危険だが、よく勉強して攻めるべきは攻め守るべきは守れという彼の投資哲学を真っ当なものだと評価している視聴者も多いようだ。ただ、彼の番組でのコメントにしたがって売買したら損をしたという視聴者からの苦情が寄せられることもある。

  全米ベストセラーとなった彼の投資指南書は、日本語にも翻訳されている。

http://www.amazon.co.jp/%E5%85%A8%E7%B1%B3No-1%E6%8A%95%E8%B3%87%E6%8C%87%E5%8D%97%E5%BD%B9%E3%82%B8%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E6%8A%95%E8%B3%87%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%88%A6-%E3%82%B8%E3%83%A0-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC/dp/4532352150/ref=sr_1_1/249-2830185-0830757?ie=UTF8&s=books&qid=1177004799&sr=1-1

Conde Nast Portfolio

★2008年5月9日追記

 「日経ビジネス」オンライン版に Portfolio について記事を発表した:

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080502/155049/

★2007年5月13日追記

  創刊号を手にしての感想を下記に記した: 

   http://timessquare.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/the_premier_iss.html

 

 コンデナストが Portfolioというビジネス月刊誌を創刊した。雑誌の現物はまだ手にしていないが、記事は全て下記の同誌のホームページに掲げられており、中々期待をもてそうなすべりだしである。

 http://www.portfolio.com/

 先月のニューヨーク滞在中のときには、Portfolio については広告が順調に集まっているということ以外はこれといって情報をえられなかったが、ホームページと「ニューヨークタイムズ」(2007416日付)の記事の両方を読むと、同誌の目指す方向性が分かってくる。

コンデナストのチェアマンであるS. I. Newhouseは「タイムズ」の取材に対し、「バニティ・フェア」や「ニューヨーカー」のビジネス記事が好評でそれに刺激されてビジネス雑誌を創刊したいと思ったとコメントしている。これはなるほどと思わせるコメントで、ビジネス版の「バニティ・フェア」をスタートさせたのだと理解すると、「フォーチュン」「フォーブズ」「ビジネスウィーク」とは異なる雑誌になるだろうと期待がもてる。

 編集長は「ウォールストリートジャーナル」から引き抜いたJoanne Lipman

ファッション雑誌のようにも読める、エレガントでソフィスティケイティッドなビジネス雑誌として Portfolio が成功することを祈りたい。

Maria Bartiromo

★2010年4月16日追記

 バーティロモの新著 The 10 Laws of Enduring Success について彼女にインタビューした記事を「日経ビジネス」オンラインで公開した。http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100413/213961/ 

★2008年7月11日追記  先ごろCNBC本社を訪れ、ホフマン社長にインタビューし、スタジオを含めて社内を案内していただいた。

 この取材に基づく記事は、『日経ビジネス』オンライン版で発表した:

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080707/164652/

 また、下記のブログで私は次のように書いた:

「なお、彼女は自分の名前を「バーチュロモ」と発音する。だが、CNBCの同僚は彼女を「バーティロモ」と呼んでいる。」

 だが、マリア・バーティロモ本人にCNBCの広報担当者が確認したところでは、彼女は「バーティロモ」と発音していると感じているそうである。

★2007年8月5日追記

 第2のマリア・バーティロモとの呼び声が高い Erin Burnett について下記で補足した。

http://timessquare.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/new_maria.html

★本文

 アクセス解析を見てみると、 Maria Bartiromoを検索してこちらにお越しの方が少なくない。日本でも日経CNBCで彼女の番組Closing Bellを見ることができるからかもしれない。

  マリア・バーティロモをはじめて見たときは圧倒された。ニューヨーク証取引所の喧騒のフロアからからの生中継で、アナリストレポートをがんがん読み上げ、相場の動きを的確に伝えていくパワフルなレポートぶりは、スポーツ中継を見るような興奮を感じた。それまではPBSのルーカイザーや「ナイトリー・ビジネス・レポート」など穏やかなものが多かったので、ビジネスニュースが新時代を迎えたのを実感した。

  以前、「フジサンケイビジネスアイ」(2005年1月23日付)のコラムでCNBCを取り上げたときにも言及したが、事実、CNBCはESPNに学び、フットボールの試合を生放送するような興奮をビジネスニュースに持ち込もうとした。また、Fox Business Newsの項でも書いたが、ど派手なグラフィックには当初はものすごいインパクトを私は感じた。

 バーティロモはCNBCを成功に導いた一番の立役者でMoney Honeyと呼ばれることもある。アイドル的な存在なのだが、お人形さんでは全然ない。投資家にとって重要なCEOの嫌がる質問をストレートにぶつけるタフさが彼女の真骨頂である。

 ウォールストリートの興奮をリビングルームに持ち込み、証券市場の民主化に貢献した点で、CNBCの功績は大きなものがある。

 現在、バーティロモは、ニューヨーク証券取引所からのレポートからは身を引き、平日の午後3-5時のClosing Bellと、日曜のThe Wall Street Journal Report with Maria Bartiromoを担当している。ちなみに、The Wall…は番組名にWSJとうたっていても、WSJの関係者はあまり登場しない。

 バーティロモは相場が動いているときは水をえた魚だが、経済以外のニュースの扱いはあまり上手ではない。だから、バーティロモは例えば「トゥデイ」のアンカーには向いていないし、彼女も望んではいないだろう。

 なお、彼女は自分の名前を「バーチュロモ」と発音する。だが、CNBCの同僚は彼女を「バーティロモ」と呼んでいる。

 それから、少し古くなったが、CNBCの成功については、「ワシントンポスト」のハワード・カーツ記者の下記の書物が必読。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%81%BD%E3%82%8A%E3%81%AE%E4%BA%88%E8%A8%80%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%EF%BC%8D%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%97-%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%A8%E6%A0%AA%E4%BE%A1%E3%81%AE%E5%8D%B1%E9%99%BA%E3%81%AA%E9%96%A2%E4%BF%82-%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%84/dp/4478600392/ref=sr_1_1/249-3142245-6379561?ie=UTF8&s=books&qid=1176914077&sr=1-1

Brooks Brothers

★08年6月20日追記 「日経ビジネス」オンライン版に、6月20日と27日の2回にわたって、ブルックス ブラザーズの思想と歴史に関する記事を掲載する。本店オフィスでのインタビューに基づく記事である。

 こちらからどうぞ:

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080617/162436/

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080624/163521/

★07年9月11日追記  ブルックス ブラザーズが粋な広告を「ニューヨークタイムズ」に出したことについて、下記で述べた。 http://timessquare.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/brooks_brothers_890a.html

  今は亡き落合正勝氏は、ブルックス ブラザーズについても文章を残している。 氏の好みではないかと思いきや、ブルックスはアメリカのスタイルを作り上げたとして、実に的確に評価されていた。

 ブルックスより高級なブランドはたくさんあれども、私はブルックス ブラザーズが好きだ。真面目できちんとした飽きのこない装いをブルックスは提供してくれるし、伝統が好きな者としては、創業1818年、リンカーンも愛用したといった話に弱い。

 マディソン街44丁目の広い本店に足を踏み入れると、Ⅰ型スーツといい、ポロカラー(ボタンダウン)シャツといい、アメリカの伝統に自分も連なることができたような気がして、おのぼりさんのニューヨーク好きには気持ちがいい。端正な接客もよい。 ちなみに、マディソン街の44丁目近辺は、ポール・スチュアート、オールデン、アレン・エドモンズ、ジョンストン&マーフィーなどアメトラのお店が固まっている。  

   落合氏は、ブルックスの携帯安定シャツを、氏としては当然のことながら評価していない。でも、私はブルックスの携帯安定はとてもいいと思う。特に旅先では、アイロンをかけてもかけても皺が取れないシャツと格闘している暇はなく、クリーニングを待てない時もあり、ブルックスのシャツはとても重宝する。最近、New York もベストなドレスシャツだという記事を掲げていた。ま、落合氏がこの記事を読まれたら、声を大にして抗議されることであろう。(この「声を大にして抗議する」というのは印象に残る表現で、本当に落合氏が抗議している場面に一度でいいから居合わせてみたかった)。

  ブルックスは適正な値段で長持ちする品質の商品を販売していると思う。せっかく購入したのにすぐ生地が傷んできて困るというようなことは、ブルックスは少ない。ただ、アメリカ国内での生産が減りマレーシアなどでの生産が増えたことを、昔からのブルックス・ファンは嘆くことが少なくない。また、私はもう少し高価格帯の商品を取り揃えてもよいのではと思うことがある。

 ブルックスはアメリカのスタイルを築き上げたが、自らのスタイルに囚われの身になっている部分がある。そのシーズンしか着ることのできない服を作るファッション・ハウスより、完成された定番の品を何シーズンも売り続けるブルックスの方を私は好ましく思うが、近年のブルックスにはボタンダウンに匹敵するような新しいスタイルの提案はなかった。

 だが、この秋、ブルックスはトム・ブラウンによるブラック・フリース・コレクションをスタートさせる。既に何人もの方が書かれているように、ブルックスとトム・ブラウンのコラボは無理のない納得のコラボである。この両者を結びつけたのは、「プラダを着た悪魔」のモデルになった「ヴォーグ」のアナ・ウィンター編集長。さすがである。このコレクションが、ブルックスの新たなる躍進の端緒になってほしいものだ。

  ちなみに、先に取り上げたスティーブン・コルベールの衣装はブルックスの提供である。

Interviews

 もっとも最近は劇場通いを週末に固めるようになってきている。

以前は今ほど原稿を書いていなかったし、それにネット環境がよくなって曖昧な情報をすぐに確認できるので、取材の記憶が薄れる前に一気に原稿を書いてしまうのが一番効率的な仕事のやり方になっている。

そうなると、8時までに原稿が仕上がらないこともままあり、また「ウォールストリートジャーナル」の発行人に取材するともなれば、前の晩から緊張して取材が終わるとぐったりしてとても劇場に行く体力が残っていないことにもなる。

インタビューは疲れるが、年々取材なしで原稿を書くのは怖いと思うようになっている。

 業界紙が大きく取り上げている話題でも、当事者に話を聞くと、あれは社内事情でそうしただけで自分は反対だ、だからこの件は小さな扱いにしてこちらを大きく書いてほしいと言われることもある。

 また、プレスリリースを出す前の段階の計画中のプロジェクトについて教えてもらえることもある。

 こうした情報の入手に加えて、取材にはキーパーソンの人間性に接することができるというメリットもある。私はこれを一番大きなメリットだと感じている。頭がやわらかくてなるほどこう戦略は立てるんだなあと感心させられる人、あっさり成功したようで実は苦労人な人、なぜ話がかみあわないのかお互いちんぷんかんぷんで取材を終えた人、などなど。

 ニューヨークはニューヨークの感性で動いているし、東京は東京の感性で動いている。これはグローバル化の世の中でも容易に均一化しないもので、どんなに疲れても取材を積み重ねていかねばと思う。

Broadway: The American Musical

 ブロードウェイの歴史について映像で勉強したい方は、下記のPBSのドキュメンタリーがお勧め。NHKでもこのドキュメンタリーは放送されたことがあるようだ。また、大部のコンパニオンブックも刊行されている。

 それにしても、このDVDのリージョンというのはいまいましい。自由貿易の精神に反するのは明らか。すみやかに撤廃されるべきである。

http://www.amazon.co.jp/Broadway-American-Musical-Ws/dp/B000BITUNE/ref=sr_1_44/249-3142245-6379561?ie=UTF8&s=dvd&qid=1176716353&sr=1-44

Side Show

  日本でも映画が公開された Dreamgirls の作曲は Henry Krieger

であるが、この作曲家には Side Show という幻の傑作がある。バックステージものなのだが、シャム双生児のヒルトン姉妹という実在の姉妹を題材にした作品である。どんな作品なのかは、ブロードウェイファンにはお馴染みの Misoppa 氏が愛情あふれる優れた文章を書かれている。 

http://misoppa.com/ny28sideshow.html

  「ニューヨークタイムズ」が大絶賛したにもかかわらず、この作品は91回の公演で終わってしまっている。私もトニー賞の映像を見ただけで、舞台は見ていない。

  だが、CDは私がもっともよく聞くCDの一つで、特に

9・11の後はこのCDばかり聞いていた。美しく凛とした曲ぞろいなのだ。CDはアマゾンではこちらから: 

http://www.amazon.co.jp/Side-Show-1997-Original-Broadway/dp/B0000029M3

  なぜこの作品がヒットしなかったのかを見ることができた方にうかがうと、双生児というのが気持ち悪かったという声が多かった。見ていないので確たることは言えないが、納得のいかない話である。

  姉妹を演じたのは Emily Skinner Alice Ripley。この作品のリバイバルを試みるプロデューサーは中々いないと思うが、いつかはリバイバルされ、この作品も Dreamgirls のように誰もが知る名作となる日が来てほしいものである。

Nathan Lane

 バーナデット・ピーターズがブロードウェイの女王なら、ブロードウェイの王様は、Nathan Laneだと言ってよいだろう。Matthew Broderickと組んだThe Producersは大ヒットし、映画化もされた。

 The Producers をプレビュー段階で見たとき、どうもMel Brooksは私の好みではないため、レインがその前年に出演した The Man Who Came to Dinner の方が面白いと思ったものだった。ちなみに、The Man…のDVDはリージョン1だが、こちらから購入できる。http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/B00008975C/ref=nosim/thenathanlanepag

 ところが、「プロデューサーズ」は記録的なヒットとなり、永遠のロングランになるかと思われた時期もあったが、客足が落ちてもうすぐ4月22日に閉幕する。6年続いたことになるのでもちろん立派な記録なのだが、開幕当初の熱気を思い起こすとこんなにはやく閉幕するとはという思いを禁じえない。

 「オペラ座の怪人」や「ライオンキング」に匹敵するロングランに「プロデューサーズ」がならなかったのは、レインとブロデリックがあまりに素晴らしく、ネイサン・アンド・マシュー・ショーになったのが理由の一つとして挙げられると思う。2人が舞台を降りてから私はもう一度「プロデューサーズ」を見ているが、ネイサンとマシューほどのケミストリーは感じなかった。この点で、例えば「ママ・ミーア」はスターのキャラクターに依存していないので役者が交代しても支障がでない。

 もう一つは、何度も繰り返してみることのできる作品でないこともあるかもしれない。私は先に取り上げたサンドラ・ジョゼフが降板した後も「オペラ座の怪人」を見続けているが、何度見てもこの作品は飽きのこない重層さがある。「プロデューサーズ」は、私は3回が限界だった。

 ちなみに、レインは「サインフェルド」のジョージ役の候補にも上がっていたそうだが、彼がジョージ・コスタンザを演じたとしたら「サインフェルド」は、そしてレインの俳優人生はどうなっていただろう。

Ultimate Broadway

ブロードウェイの名曲を集めたアンソロジーはいろいろあるが、Ultimate Broadwayとそのパート2は、手ごろなお値段でしかるべき曲がしっかり収められている。お勧め。

 アマゾンではこちらで購入できる。

http://www.amazon.co.jp/Ultimate-Broadway-Various-Artists/dp/B000007SNS/ref=sr_1_1/249-4375983-9486707?ie=UTF8&s=music&qid=1176564183&sr=1-1

http://www.amazon.co.jp/Ultimate-Broadway-2-Sherrill-Milnes/dp/B000092Q7E/ref=sr_1_2/249-4375983-9486707?ie=UTF8&s=music&qid=1176564183&sr=1-2

Bernadette Peters

Sunday in the Park with Georgeは、Stephen Sondheimの作詞作曲で、数あるソンドハイム・ミュージカルの中でも傑作の一つと言われる。点描技法のジョルジュ・スーラの制作の苦闘を描いた作品である。ブロードウェイ・ミュージカルには珍しく、この作品は舞台を録画したビデオ・DVDが発売されている。

ソンドハイムはブロードウェイ・ファンなら誰もが知っている巨匠でありながら、日本での知名度は低い。日本語の訳詩をあてにくい複雑なメロディを書くことがあること、時に作品が難解に流れることがあることなどが、日本での上演回数が今ひとつ少ない原因であろうか。

Sunday in the Park with Georgeの主役の一人を務めたのはバーナデット・ピーターズで、繊細なソンドハイムの世界を最も表現力豊かに表現する女優であるとされる。彼女はブロードウェイの女王ともブロードウェイのファースト・レディとも呼ばれる大女優であり、彼女の舞台を見たことがなくてもトニー賞の授賞式をよくご覧になっている方にはお馴染みであろう。

ピーターズは子役出身であるが、女優としての評価を得るまでにはかなりの時間がかかっている。知性豊かなニューヨーカーであり、コメディのセンスが抜群である。また、そのエモーショナルな演技は観客の心をつかんで離さない。

近年、彼女がブロードウェイで主役を演じた作品はAnnie Get Your GunGypsyである。必ずしも彼女向きの作品ではなく開幕前にはミスキャストだと言う声もあったが、演じてみるとはまり役に思わせてしまう芸域の広さを誇る。

女性の年齢に言及するのはタブーなので関心のある方は検索していただくとして、この年齢でこの若さは驚異的である。神は彼女に味方しているが、最愛の夫は事故で失っている。

ブロードウェイ関係者の中には、彼女もそろそろ老け役をやっていくことを考えないといけないという人もいるが、この先まだ2,3作はこの調子でブロードウェイで主役を張れると私は考える。

いつの時代にも優れた俳優はいるものだが、私はバーナデット・ピーターズの舞台を生で見ることができて、本当に幸せだと思っている。

バーナデット・ピーターズのホームページはこちら:

http://www.bernadettepeters.com/

また、彼女がカーネギーホールで行った、ソンドハイムの曲を中心に歌ったライブは2枚のCDに収められている。この2枚のCDは、ソフィスティケーションの極みであるソンドハイムの魅力をこの上なく堪能できる名盤である。

http://www.amazon.com/Sondheim-Etc-Bernadette-Peters-Carnegie/dp/B00000GC22/ref=pd_bbs_sr_3/103-8077498-7571800?ie=UTF8&s=music&qid=1176555133&sr=1-3

  http://www.amazon.com/Sondheim-Etc-Bernadette-Peters-Carnegie/dp/B0009X75DS/ref=pd_bbs_sr_2/103-8077498-7571800?ie=UTF8&s=music&qid=1176555133&sr=1-2

Sunday in the Park with George

 「ニューヨークタイムズ」を読む愉しみはいろいろあるが、その一つはブロードウェイ・ミュージカルの作品名やサビをさりげなく記事に織り込んでいることである。

 よく目にするのが、名作Sunday in the Park with Georgeをもじった記事の見出し。フランク・リッチの最近のコラムのタイトルは Sunday in the Market with McCain だった。

 同じくOp-Edコラムニストのモーリン・ダウドは、政治家の汚職を扱ったコラムで、People who need people are the luckiest people in the world.と締めくくったことがある。この文句はバーバラ・ストライサンドの出世作Funny Girlの名曲Peopleのサビの部分である。

 ブロードウェイ以外にも、聖書、シェイクスピア、マザーグースなどをもじった見出しや記事の一節はいろいろある。こうしたさり気ない仕掛けは、分かる人には分かるし分からない人は素通りしてしまうところである。

「タイムズ」を読むのは、しゃれっけというか香気というか、センスを愉しむ喜びがある。

Theatre Reviews

  日本では「ニューヨークタイムズ」というとその国際政治報道に関心が集まることが多い。もちろん、国際政治報道は「タイムズ」の目玉商品の一つだが、「タイムズ」はアート批評にも非常に力を入れている。

 特に、初日翌日のブロードウェイの劇評は、その芝居の興行上の成否を決するほどの影響力を誇る。洗練された現代英語を駆使した批評は、新聞を読む愉しみを十二分に与えてくれる。

 アメリカの新聞社の生き残り戦略について講演するとき、私は必ず最後にこの劇評の話題を持ち出す。原稿でも「日経広告手帖」20069月号http://www.nikkei-ad.com/techo/top_2006.html)ほか、機会があれば欠かさずこのことについて執筆している。

 ネットの時代に新聞が生き延びていくためには、破壊的イノベーションを起こして従来の方法論とは異なるメディアを創造すると同時に、報道や論評においてはただ情報を右から左に流すのではなく、その新聞でなければできない付加価値を加えて記事を執筆していく必要がある。

 アート以外の分野を取材している記者でも、アートに接してセンスを磨き発想を豊かにしておくことは有意義なことだと私は考える。「タイムズ」のOp-Edコラムニストの一人、フランク・リッチは観察力豊かなコラムでファンが多いのだが、彼はブロードウェイの劇評記者を経て、Op-Edコラムニストに就任している。演劇を通して人間と社会を深く考察してきたからこそ、政治や社会問題について執筆しても読み応えのあるコラムが書けるのである。

私が「タイムズ」を愛読するのは、美しくひきしまった紙面のレイアウト、アート批評やOp-Edコラムに見られるシャープでウィットにとんだ批評、「ニューヨークタイムズマガジン」に見られる読ませるフィーチャー・ストーリーなどに魅力を感じるからである。

 「タイムズ」も様々な問題点を抱えているのは、ステファン・エルフェンバイン著『ニューヨークタイムズ-あるメディアの権力と神話』(木鐸社)の翻訳作業などを通じ、私も承知はしている。それでも「タイムズ」の洗練されたセンスは私を魅了してやまない。

Bebe Neuwirth

私の知人の学生さんがはじめてブロードウェイでミュージカルを見て、主役は代役のおばさんだったと言って帰ってきたそうだ。

 誰のことを指しているかというと、ビビ・ニューワースだという。冗談もはなはだしい。リバイバル版の「シカゴ」を成功に導いた功労者の一人はニューワースである。その彼女が久しぶりに「シカゴ」の舞台に戻ってきているというのに。

 たくましくしなやかな大人の女性の魅力が、日本でももっと評価されてよいと思う。

Judy Garland

 Meet Me in St. Louisは、ジュディ・ガーランド主演のミュージカル映画。The Trolley SongHave Yourself A Merry Little Christmasなど素晴らしい曲がたくさんつまっている作品である。

 この作品のブロードウェイ版はあまり成功を収めなかったようだが、昨年12月から今年2月にかけてのアイリッシュ・レパトリー・シアターにおける公演は素晴らしかった。同シアターのホームページはこちら:

http://www.irishrep.org

座席数130ほどのこじんまりとした劇場である。あたたかな家族愛、美しい歌声、手作り感のあるセットで、心にしみいるクリスマス・プレゼントであった。私は二回見た。

俳優の伝記をゆっくり読むのが私は大好きで、中でもローレン・バコールの By Myself は繰り返し読んでいる。

だが、私はジュディ・ガーランドのファンであるものの、ガーランド伝は1冊も読んでいない。この人は晩年不幸であったので、その軌跡をたどるのが辛い読書になりそうだからだ。

The Year of Magical Thinking

 この3月に見た舞台で断然素晴らしかったのは、The Year of Magical Thinking

Vanessa Redgraveの独り芝居。

最愛の夫の死について綴り全米図書賞を受賞したJoan Didionの回顧録の舞台化。そして、ディディオンは夫についで娘の死にも直面している。

 ここでは、ショーの公式サイトと、スライドショーが充実して

いるNew Yorkのサイトへのリンクをはっておく。公式サイトでは

映像も見ることができる。

 http://www.magicalthinkingonbroadway.com/

 http://nymag.com/arts/theater/features/29426/

 ディレクターは、The Vertical Hourの脚本のDavid Hareが務めている。

 贅言の必要のない鮮やかな舞台である。

 期間限定公演なので、劇場へはおはやめに。そして、この作品は遅れてきた観客を劇場に入れないというポリシーなので、遅刻は厳禁である。

The Vertical Hour

 アメリカのテレビに話題を限定しても何年でもブログを書いていけそうな気がするが、ここで少しブロードウェイに話題を移したい。

 昨年秋から今年の春にかけてThe Vertical Hourというプレイがブロードウェイで上演された。主演はJulianne MooreBill Nighy

 ジュリアン・ムーアは海外特派員を経て、エール大学で国際関係論を教えているという設定。アメリカのイラクへの介入を支持する立場。彼女の議論を彼女のボーイフレンドの父親のビル・ナイが崩していく。

 舞台は最初と最後のみはムーアと学生の会話のシーンだが、それ以外はほぼ二人の討論である。演劇というよりは国際関係論のゼミのような趣。

 私はムーアの演技に注目していたのだが、期待はずれだった。一生懸命せりふをしゃべるばかりで、緩急自在の演技を見せるナイには及ぶべくもない。ムーアはオフ・ブロードウェイを経てハリウッドに移り、今回はブロードウェイ初舞台だったのだが、定期的に舞台に立っていない役者の演技力はこの程度のものなのかと愕然とした。

 脚本はDavid Hare。この作品の議論のレベルはすこぶる高く、脚本を読むだけでも十分面白いはず。アマゾンなら下記から購入できる。

http://www.amazon.co.jp/Vertical-Hour-Play-David-Hare/dp/0865479658/ref=sr_1_1/249-4375983-9486707?ie=UTF8&s=english-books&qid=1176278683&sr=1-1

 ブロードウェイではプレイには中々観光客がやってこないが、この作品の観客も地元の演劇ファンがほとんどだった。幕間では、ミュンヘン、ボスニア、キューバといったことばがとびかい、観客たちは戦争や紛争について、舞台に負けない知的な議論を繰り広げていた。

The Long Tail

 「ニューヨークタイムズ」やブロードウェイについて多く取り上げるつもりではじめたブログが、今のところアメリカのテレビについて取り上げるブログになっている。記事につながりをもたせたいと思っているうちに、テレビで話がつながることになったが、おいおいNYTやブロードウェイのことも書いていくつもりである。

 2,3の知人にはマニアックなことを書いていると評されたが、私はそんなにマニアックなことを書いているとは思っていない。確かにJudy Woodruffなどは、アメリカ人でも知らない人は少なくないと思う。PBSは見ない人は絶対に見ないので。

 でも、Regis PhilbinとかDavid Lettermanは、アメリカなら誰もが知っている著名な司会者で、逆に日本で知名度が低いのが不思議である。だから、グーグルからRegis Philbinで検索してこのブログに来られた方がいらっしゃったのは嬉しかった。

 アメリカの長寿テレビ番組や著名な司会者で日本で知名度が低いケースは結構多い。レターマン・ショーは番組のごく一部だけネット上で見られるが、コストがかかるから字幕なしでいいのでレターマン・ショーを全て放送してくれるケーブルテレビ局が日本にあらわれてくれないものか。

ABC News

ど派手なグラフィックといえば、私ははじめてABC Newsを始めてみたとき、なんてかっこいいんだろうと衝撃を受けた記憶がある。何歳のときにどこで接したのかは全く覚えていないが、地球がくるっと回るABC Newsのオープニングはクールだと思ったものだ。

Fox Business Channel

 このIn The Papersを平日に担当しているPat Kiernanは、かつてはCNNfnというビジネスニュースチャンネルのアンカーの仕事を兼任していた。

 CNNfnは人気が出ず、このチャンネルは放送を中止した。その後はCNBCがビジネスニュースで首位の座を独走してきたが、遂にFox Business Channelのスタートが発表され、今後CNBCと激しい競争をすることになる。

FOXは財界にフレンドリーなビジネスニュースにすると言っているが、私はこれは話半分と思っている。FOXはビル・オライリーのように激しい番組を作るのが持ち味で、甘ったるいニュース番組では自分自身が満足できないのではないか。

Maria Bartiromoが移籍するかどうかも含めて、このチャンネルについて私は注視しているところである。

思い起こせば、CNBCが始まったときはど派手なグラフィックにしばらくとまどっていたが、今では何とも思わなくなった。慣れとは恐ろしいものだ。

In The Papers

     ニューヨークのニュースを24時間休みなく伝えるケーブルニュースチャンネルNY1。朝740分から10分弱放送されるIn The Papersは、その日のNY各紙の読みどころを簡潔にウィット豊かに紹介し便利。

 ただ、NY1はタイムワーナーのケーブルでしか見られないので、NYにいてもNY1を見られない人は少なくない。なので、その時はネット上で見ることになる。

In The Papersを見るときはこちらから。

http://www.ny1.com/ny1/OnTheAir/in_the_papers.jsp

Deal or No Deal

 NBCのゲームショーDeal or No Deal。中々面白い。日本でも既に一度、パイロット版を放送しているようだ。

 番組のルールは下記のウィキペディアを見ていただくとして、

 http://ja.wikipedia.org/wiki/Deal_or_No_Deal

 この解説を読むと何やら面倒なルールの番組に思えるかもしれないが、一度見れば単純な作りの番組で、すぐに馴染める。

 ジュラルミン・ケースをもった26人のモデルが階段をおりてくるところは、42nd Streetのようにゴージャス。レイディーズ・ナイトとして、男性26人が階段に立つときもある。ハウイー・マンデルの司会ぶりは飄々としていい味を出している。

 番組ホームページはこちら:

 http://www.nbc.com/Deal_or_No_Deal

Quiz Shows

 アメリカのクイズ番組は単純な作りの番組が多い。「ミリオネア」にしても、プライムタイム版も現在の昼間の版もともに、問題を読み上げて答えるだけ。正解かどうか告げるまでホストがさんざんじらしたりはしない。

 スピーディーだが、単純で物足りなくもある。なぜ、これだけワンパターンの番組を延々と飽きずに見続ける視聴者がたくさんいるのか、私には謎だ。

 ま、私もクイズ番組こそあまり見ないが、長寿番組を飽きることなく見続けるタイプなので人のことはいえないが。

Speed

 アメリカのテレビのニュースは、具体例を3,4つ、短いショットをたたみかける手法をよく用いるが、日本のテレビのニュースではこの手法は流行っていないように感じられる。スピーディーでよいと思うのだが。

Charlie Rose

 レターマン・ショーは午後1135分に始まる。

 私はレターマンの熱烈なファンなので、平日にPBSで11時から1時間放送される「チャーリー・ローズ」は、レターマン・ショーが再放送のときでないと、最後まで見ることはない。通常は、番組ホームページ上で番組を見ている。

 チャーリー・ローズは、このブログで最初に取り上げたジュディ・ウッドラフと並び、アメリカのテレビ界で最も知的な討論を展開してみせる司会者だろう。

 番組は真っ暗なスタジオにテーブル1つ。ローズとゲストが1時間議論する。1人のゲストと1時間話すときもあれば、20分ずつ3人のゲストを招くこともある。

 こんなに密度の濃い議論を繰り広げる番組を週に5日もたった1人のホストでやり続けるとは、私にはチャーリー・ローズは信じがたい驚異的な知的体力の持ち主である。

 中東情勢を扱う日は、キッシンジャーやブレジンスキーを招いてああでもないこうでもないとやるし、ジュリア・ロバーツを招くと出演作品のクリップを1つ1つ見ながら、彼女の演技論を引き出していく。

 もちろん、番組にはリサーチャーがいて、リサーチャーがまとめた資料に基づき彼は番組をやっているのだが、それにしてもこれだけ丁々発止で長々と議論できるということは、休みなく勉強をしていないと無理だろう。彼はいったい一日何時間寝ているのだろう。

番組ホームページはこちら:

http://www.charlierose.com/

David Letterman

 さて、これまで何度か話題にしてきたレターマンであるが、彼はアメリカで最も尊敬を集めているコメディアンの一人である。

 彼の番組Late Show with David Lettermanの裏番組のジミー・キメルも、もう一つの裏番組の「トゥナイト」のホストへの就任が予定されているコナン・オブライエンも、レターマンを尊敬していると語っている。キメルなど、マイケル・アイズナーがホストのCNBCのトークショーに呼ばれたとき、レターマンが辞めたら、人々は彼を懐かしみ、彼の番組の様々な名場面を思い起こすことになるだろうという趣旨の発言までしている。

 その彼の笑いだが、ジェイ・レノと比べてごく一部の人に愛される笑いである。だから、NBCがレノを「トゥナイト」のホストに指名したのは、視聴率競争という点では正しい。だが、レノの笑いは凡庸で、批評家の評価は低い。

 レターマンの笑いは毒があり、weirdな笑いである。かなり不機嫌なところがあり、不機嫌な自分にまた不機嫌になるようなところがある。自虐的というか、スタッフに自分を最低だと罵倒させることも多い。

番組の名物企画はたくさんあるが、最も長く続いているのは、時の話題を10個のジョークに仕立てるトップテン・リスト。今年321日のカテゴリーは、11000ドルのピザを注文する前に自問することトップ10。第6位は、このピザを注文しなかったらテロリストは勝ったことになるのだろうか?第5位は、デニス・クシーニッチ候補への献金とこのピザと、どっちがお金の無駄だろう?第3位は、アル・ゴアだったらどうするだろう?

また、アナウンサーのアラン・コールターは、一時期まではレターマンに親しげに話しかけ、レターマンに冷たくあしらわれると怒ってスタジオをでていくというお約束があった。このお約束をバンド・リーダーのポール・シェイファーがやったこともあった。

 それから、年末最後の放送では、ダーリン・ラブが歌うのが恒例。

 

ゲストを招いてのトークの腕は抜群で、その切り返しは極めて巧み。

自分の政治的な立場を悟られないようにジョークを飛ばすのが常だが、対イラク戦には明確に反対の立場をとった。その一方で、米兵の慰問には熱心である。派遣される米兵への尊敬の念を彼はおしまず表明する。

また、ビル・オライリーがゲストのとき、あんたの言ってることの60パーセントはでたらめだと言ってのけるなど、時々よくぞ言ったという発言をすることがある。

 番組の収録はブロードウェイの53丁目と54丁目の間にあるエド・サリバン・シアターで行われている。私も一度収録を見に行ったことがある。ゲストは、ハワード・スターンとキャリー・アンダーウッドだった。

 番組ホームページはこちら:

http://www.cbs.com/latenight/lateshow

Rest

 このような長寿番組を可能にしている要因について述べておきたい。

 Live with Regis and Kelly にしても、Liveという番組名でも取りだめした番組を放送することは少なくない。その場合には、番組冒頭に今日は録画ですというテロップが出る。

 また、ホストは最低でも、夏に2週間、年末年始に1週間、春に1週間程度は休んでいるのが普通である。その場合は、ゲストホストが登場するか、再放送になる。レターマン・ショーなどは、年に3分の1程度再放送である。

 それから、長寿番組になると週に1回はゲストホストを立てて、ホストが休むこともある。リージス・フィルビンは金曜日はお休みでゲストホストが担当する。ゲストホストはオーディションでもあり、常連のゲストホストが番組を引き継ぐこともある。ジェイ・レノはそうしてジョニー・カーソンから番組を引き継いだ。

 番組がパワーを保ち続けるためには、ホストが十分な休みをとることが必要だ。

Regis Philbin

 The Price is Rightは結構好きな番組だが、毎日見たいほどの番組ではなく、11時にホテルの部屋にいることも少ないので、年に45回見る程度である。

 私がニューヨークにいるとかかさず見ている長寿番組の一つはLive with Regis and Kelly24年続いている。ABCで朝9時から1時間の放送。

 オープニングはホストのリージス・フィルビンとケリー・リッパが、昨夜出かけたパーティの話とか、その日の朝の新聞の切抜きを紹介したりしながらのトーク。これが15分とか20分とかかなり長く続く。ついで、ゲスト2、3人とのトーク、お料理コーナーなどになる。

リージス・フィルビンは、アメリカのプライムタイム版「ミリオネア」の司会をしていたこともあるが、代表作はこの番組。

 取材のアポは10時に入ることが多いので、だいたい私はオープニング・トークだけ見て部屋を出る。

リージスのトークは本当に楽しい。なんともいえずファニーで上品。プロデューサーのマイケル・ゲルマンにGelman, what’s going on?とふるのは、この番組のお約束。で、ゲルマンの鳩が豆鉄砲をくったかのような表情のショットが入る。これもお約束。

「ニューヨークオブザーバー」はかつて、ジョニー・カーソンの後をつぐべきだったのは、レターマンでもレノでもなくリージスであったと書いたことがある。まさしくその通り。

リージスはレターマン・ショーによくゲスト出演する。でも番組収録のとき以外でレターマンと会話したことはほとんどないと、リージスがどこかで答えていたことがある。

 今、リージスはバイパス手術後で番組を休んでいるが無事に復帰しそうで、まだ34年はこの番組を続けるのではないかと思う。

 番組ホームページはこちら:

http://bventertainment.go.com/tv/buenavista/regisandkelly/index.html

 

Bob Barker

 平日にCBSで午前11時から1時間放送されるThe Price is Right35年も続く長寿番組だ。

 アナウンサーに名前を呼ばれてCome on down!と言われたら、会場にいる観客は飛び跳ねて回答者席におりてくるのがお約束。4人のうち一番値段の近かった人がステージにあがり、さらに商品獲得を目指してゲームに挑む。日本でいうと往年の「ザ・チャンス」に近い。

 番組開始時のことは知らないが、私がこの番組をなんとなく時々見てきたこの10年、この番組にこれといったイノベーションはなかった。能天気な番組テーマ曲も35年不変。偉大なるマンネリというか、自らのペースを維持してきたというか。

 司会はボブ・バーカー。1923年生まれで、今年遂に番組から引退する。これだけ若々しいと、まだまだ引退が惜しまれる。バーカー自身は番組の合言葉Come on down! を叫ぶことはあまりない。

 アメリカの朝と昼の番組はヒットするまでが大変だが、いったん軌道に乗ると、あとは長寿番組になるケースが多い。最近ではトニー・ダンザやジェーン・ポーリーの番組は軌道に乗らず、レイチェル・レイは成功の域に入ってきた。タイラも成功といえる域か。ちなみに、タイラ・バンクスは元バーカー・ガール。つまり、この番組の元アシスタント

 The Price is Rightの番組ホームページはこちら:

http://www.cbs.com/daytime/price

★07年5月24日追記

 ボブ・バーカー引退スペシャルが、プライムタイムで2夜にわたってCBSで放送された。

 ここ数週間のバーカーに関する記事をいろいろ読んでいると、視聴者が番組のスタイルを変えないように強く望んできたことが分かる。だからこそ、偉大なるマンネリが成立してきたわけだ。

★07年7月24日追記

 新ホストが Drew Carey に決定したことについて、下記で補足した。

http://timessquare.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/drew_carey.html

Stephen Colbert

  60 Minutesに代表されるニュースマガジンがつまらなくなった反面、Saturday Night LiveWeekend Updateを進化させたというべきか、コメディニュースショーは面白い。こうした番組は、ジョークやアイロニーを駆使してニュースの本質をえぐる。

 最近は、ジョン・スチュワートよりスティーブン・コーベアのほうが、私は面白く感じる。レターマン・ショーの裏番組なので、こちらの番組はホームページ上で楽しんでいる。

60 Minutes

 近年、60 Minutesのパワーが落ちてきていると感じる。理由は2つ挙げられるのではないかと思う。

1.あくの強いレポーターがいなくなった。

 マイク・ウォレスは引退したし、エド・ブラッドレーは亡くなってしまった。モーリー・セイファーはまだ現役だが、練りに練ったアイロニカルなコメントをあまり披露しなくなった。ボブ・サイモンもスコット・ペリーも優秀な記者だけど、あくは強くない。

2.ヒューマン・ストーリーの魅力が足りない。

 こみいった難しい話題もヒューマン・ストーリーとして描けば面白くなるというのが、ドン・ヒューイットが60 Minutesを成功させた秘訣である。最近の60 Minutesはヒューマン・ストーリーの魅力が弱くなっていると思う。

 昔の60 Minutes をテレビとラジオの博物館で見ると、刑事ドラマのようにわくわくするし、番組にスピードがある。ただ、隠しカメラを使うのはいただけない。あれはやめてよかったと思う。

The Washington Post

 「ワシントンポスト」は優れた新聞だが、私はこれまでに執筆した原稿では「ポスト」については割合辛口に評価してきた。ニューヨークにいるときなど、いつもメリーランド版を1ドル50セント出して購入しているのであるが。

 なぜ「ワシントンポスト」に点が辛くなるかというと、論理がきれいに流れていかないことがあるというのが一つある。「ニューヨークタイムズ」や「ウォールストリートジャーナル」では論理がきれいに流れていきすらすら頭に入るが、「ワシントンポスト」は細々とした事実を思い思いに書き込んでいて今ひとつ論理の展開がゆるいことがある。あくまで私の印象だが。

 もう一つは、スタイル・セクションの切り口に馴染めないことがある。木下玲子さんのようなワシントニアンには面白いのだろうが、ニューヨーク好きにはあまりピンとこない。

 こういう思いはありつつも、私は「ワシントンポスト」をよく読んでいる。ワシントン政治の動きを内側の視点で観察しているのは「ポスト」だし、Op-Edページには良質なコラムがたくさんある。

 「ニューヨークタイムズ」と「ワシントンポスト」の比較論は、またおいおい書いていきたい。

Piglet

 プーさんとラブラブだし、ステレオタイプと言われればそれまでだがピンクは女の子の色だし、私は長いこと、ピグレットを女の子だと思っていた。

The New York Times Magazine

 アメリカの新聞と日本の新聞の相違はいろいろあるが、その一つに日本ではサンデーマガジンが発達していないことがあげられる。

 「日経マガジン」という試みはあるが、同誌の認知度はまだ極めて低い。

 「ニューヨークタイムズマガジン」のように読み応えがあり、抜群の広告収入を誇るサンデーマガジンが日本にも出てきてよいはずだ。

Berluti

 パリやニューヨークのお店でも、ベルルッティでは「雨の日にははかないで下さいね」とアドバイスされるのだろうか。

Bulletin of Nikkei Advertising Research Institute

「日経広告研究所報」の232号(2007年4・5月号)の「私の研究」欄に、私へのインタビュー記事が掲載されている。これまでの研究歴を振り返り、今後の研究の抱負を語るというコーナーである。

 この記事はネット上にはアップされていないので、ご関心のある方は図書館等でどうぞ。

ちなみに、日経広告研究所のホームページはこちら:

http://www.nikkei-koken.gr.jp/ 

Stephanie Klein

昨年、アメリカのブログの女王こと、ステファニー・クラインさんについて、日経ネットにコラムを書いた。コラムはこちら:

  http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbe000002102006

私は自分を新しい動きをキャッチするのは比較的はやい方だと思っている。でも、頭では理解しても心情的についていけない時はたくさんある。

このクラインさんは話題の人物であるし、自省しつつ前進していく生き方に共感する部分があったからコラムで紹介したのだが、何もそこまで私生活をさらさなくてもよいのでは、と思う部分はある。少なくとも、私はブログにプライベートなことを書くつもりは毛頭ない。

 Wired (http://www.wired.com/wired/)の4月号のカバーストーリーは、Get Naked and Rule the WorldNew York も同種のカバーストーリーを組んでいるが、露出狂の時代とでもいうべき、最近のCGMのトレンドをこれらの記事は分析している。読んでみて、よく書けた記事だと感じる。でも中々ついていけない。

 隠す美学、あるいは控えめの美学が流行るのは、当分なさそうな気配である。

Saks Fifth Avenue

 伊勢丹メンズ館は、世界中のブランドをきめ細かくそろえていて圧巻である。

 ニューヨークのデパートは、サックス・フィフス・アベニューにせよバーニーズ・ニューヨークにせよ、イギリスの紳士ものは扱いが少ない。そのかわり、イタリアのブランドに多くの売り場面積を割いている。ブリオーニ、キトン、ゼニア、アルマーニ、カナーリ、コルネリアーニなどの扱いが大きい。やはり、やわらかな着心地がニューヨーカーに受けているのだろう。もちろん、イギリスのもので決めたいという人々も一方で存在することは言うまでもない。

ちなみに、ニューヨークでは、ポール・スチュアート、ブルックス・ブラザーズは路面店での展開で、デパートには入っていない。だが、ヒッキー・フリーマンやラルフ・ローレンはデパート・路面店両方の展開である。

Winnie the Pooh

 今やミッキーマウスに負けるとも劣らぬグッズの売れ行きを誇るくまのプーさん。

 だが、ニューヨークの五番街のディズニーストアでは、あまりプーさんグッズは売っていない。しかも、プーさんグッズが置いてなくて、ティガーのグッズだけ売っているときもある。

  なぜなのだろう?

The New York Observer

  『日経広告手帖』20065月号に記事を執筆した「ニューヨークオブザーバー」(同紙のサイトはhttp://www.observer.com)。

 拙稿はこちらにてEBookで読める:

  http://www.nikkei-ad.com/techo/top_2006.html

 結局、不動産ディベロッパーKushner家の、まだ25歳のJared Kushner がオーナーになった。

 そして、紙面もブロードシート版からタブロイド版に変更され、不動産についての記事を拡充して広告収入の増加を目指している。

 記事が短くなったコーナーもあるが、新紙面になっても今のところオブザーバーらしさにそれほど大きな変化はなく、愛読者としては一安心である。

 ニューヨークの政治、メディア、アート、不動産について、この週刊新聞はアネクドート豊かにさえた分析を見せる。しかも英語がしゃれていて、いつもにやりとさせられる。

 日本での知名度は低いが、「ニューヨークオブザーバー」はニューヨークの隠れた一流紙である。

News, Improved

 まだ現物を手にしていないが、下記の本はデジタル時代のジャ

ーナリズムについて考える上で、かなりいけそうな書物のように思

える。

http://www.amazon.com/gp/product/0872894193/103-8077498-7571800

Zoran

 「ウォールストリートジャーナル」の名物ファッション記者テリー・エイギンスが著した『ファッションデザイナー』(文春文庫)は、ファッション・ビジネスのメカニズムを解き明かした名著である。

 この本の最後の章に、究極のスノッブな服として、ゾランという婦人服が登場する。とてもシンプル、最高の素材を使い、自在に着こなしできる服なのだそうだ。

 一度、現物を見たいと思いつつ、私は中々その機会に恵まれずにいる。

News War

 アメリカのジャーナリズムの現状を理解するために、このPBSのドキュメンタリーは必見。貴重な談話がたくさんつまっている。DVDも発売されているが、下記の番組サイト上で番組を全て見ることができる。

http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/newswar/

CBS Evening News

 『日経広告手帖』20066月号に、メジャーネットワークのニュース番組について書いた。この記事は、下記からEBookで読むことができる:

 http://www.nikkei-ad.com/techo/top_2006.html

私が大いに期待したケイティ・カーリックは大苦戦で、就任当初の試みは全てお蔵入りし、プロデューサーも交代した。

 好調なのは、ABCのチャールズ・ギブソンで、記事にも記したCBSのレスリー・ムーンベズいうところの「神の声」路線で、視聴率的にNBCと五分の戦いになっている。

 「神の声」路線ではイブニングニュースに未来がないからカーリックをCBSは引き抜いたわけだが、今のところは従来型のアンカーの方が好まれている。

 チャールズ・ギブソンは、Good Morning America の頃と比べると、権威ある父親的になってきて、柔和なキャラクターはかげをひそめてきている。といっても、年齢からいって彼であと2回大統領選挙を乗り切るのが限界で、その後はまたABCはアンカー探しをする必要がある。

 私がカーリックに期待したのは、ウォルター・クロンカイトの温かみがイブニングニュースに戻ってくるのではないかと思ったからだった。ダン・ラザー、トム・ブロウコウ、ピーター・ジェニングズはいずれもハードボイルドなタイプだったが、クロンカイトはアンクル・ウォルターと呼ばれ、親しみやすさがあった。

 イブニングニュースは、フォーマット自体が時代遅れになっている部分があるが、といって今すぐにやめることもできない大事な番組である。やっぱり、カーリックには新しいイブニングニュースを生み出す才能とキャラクターがあると思うし、このまま辞めないで、新プロデューサーを迎えてもう一度いろいろな実験をしてほしいと思う。

★7月30日追記

 カーリックが、CBS Evening News での成功を諦めているのではないかという記事が出てきたので、下記で補足した。

 http://timessquare.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/katie_couric.html

Sandra Joseph

 サンドラ・ジョゼフは、ブロードウェイ版「オペラ座の怪人」で、クリスティーン役を20064月まであしかけ9年にわたって演じた女優。途中、何度か休みをはさみながらも、主役クラスの役をブロードウェイでこんなに長く演じ続けたケースは珍しい。

ブロードウェイでは、主役クラスの役者は1年程度で交代することが多い。精神的にも肉体的にもこの辺が限界のようだ。

 しかも、彼女は「オペラ座の怪人」のオリジナル・キャストではないから、何年舞台に出続けてもサントラCDも出ないし、最優秀主演女優賞を取ることもできない。

 私生活でも共演した怪人役の俳優と結婚するくらいだから、彼女はよほどこの作品が好きだったのだろう。

 彼女の「オペラ座の怪人」の解釈は、クリスティーンが愛しているのは怪人で、ラウルは庇護者の存在だというもの。彼女のクリスティーンは、二人の男性の間で揺れ動く心理にはあまり重きを置いていなかった。この解釈は賛否両論あるところかもしれない。

 サンドラは舞台を重ねるにつれ大人の女性のかわいらしさがにじみでるようになって、彼女の舞台の最後の2年ほどは私はNYにつくとまず「オペラ座の怪人」を見て、去るときにまた見て、というファンだった。

 彼女の舞台での姿は YouTube にあがっていることが多い。言うまでもなく法的には違法行為で、観客が隠れて録画したのをアップしたものだ。だが、これだけが今となっては彼女の舞台を振り返ることのできる動画になっている。

 今、彼女はこれまでの女優人生について本を執筆中とのことで、その後は一人舞台に取り組むようだ。

 サンドラ・ジョゼフのホームページはこちら:

http://www.sandrajoseph.com

Raines

 NBCで始まったドラマ Raines が面白い。主演のジェフ・ゴールドブラムが、私がかつて国際政治学を習った藤原帰一教授のようにクールでかっこいい。

 ゴールドブラム扮する刑事マイケル・レインズは、事件の被害者である死者の助けを借りながら犯人を割り出していく。ただ、死者はほんのちょっとの手がかりしかくれない。

 周りにはレインズの話し相手の死者は見えず、あいつ大丈夫かと心配している。

 私はこの3月のNYで1話と2話を見て帰国した。人気ドラマになることを祈りたい。

番組ホームページはこちら:

http://www.nbc.com/Raines

★4月8日追記

 死者について舌足らずだったので補足。ここでの死者は、レインズのイマジネーションが生み出した死者で、事件が解決し、レインズの心のわだかまりも消えると、イマジネーション上の死者も消える。 

Competition

 アメリカのテレビ界の慣行で一つなじめない事がある。

  それは他局の番組について堂々と取り上げることだ。

たとえば、NBCのモーニングニュース Today など730分過ぎから、FOXの人気番組 American Idol の前夜の模様についてよく取り上げる。ハイライトシーンは流すし、彼が残ったのは納得したとかアンカーが感想を述べもする。

人様の局の番組でも、それに乗っかって少しでも自分の番組で数字が取れればラッキーくらいの感覚なのかもしれないが、アメリカのテレビは昔からこうなのだろうか。

   

Judy Woodruff

最初の話題がワシントニアンというのはこのブログのタイトルと合わないが、まずはジュディ・ウッドラフについて書いてみたい。

アメリカのテレビニュース界で、知的に論点を掘り下げるのが最も上手な討論の司会者は、ウッドラフとPBSのチャーリー・ローズの二人だと私は思っている。

 ウッドラフは、PBSの The MacNeil/Lehrer NewsHour のワシントン特派員を経て、CNN Inside Politics のアンカー。その後、ロバート・マクニールの引退に伴い改名されたThe NewsHour with Jim Lehrer に戻っている。

 マクニールが上院議員2人に1日の審議について聞き、それを受けて学者やジャーナリストを4,5人並べてワシントンにいるウッドラフがイン・デプスな討論を仕切り、最後にロジャー・ローゼンブラットのエッセイでしめるのが、かつての「ニューズアワー」で私が最も見ごたえを感じたパターンだった。

 自分の番組を持ちたくてウッドラフは移籍したのだろうが、CNNでの彼女には見るべきものがなかった。「ニューズアワー」で見せた知性がCNNではかげをひそめてしまい、ジェームズ・ファローズに質問がくだらないと苦言を呈されたこともあった。

 結局、「ニューズアワー」に戻ったのは正解だったと思う。彼女の知性をいかせる番組は、アメリカのテレビ界広しといえど、そんなに多くはない。

最近の彼女の討論の司会ぶりは、かつてののりにのっていた頃の輝きはないし、1つの討論に割く時間がかつてより少なめになっていることもあって物足りなかったりもするが、それでもやはり彼女はうまい。ただ、民主党びいきのようであり、「NYタイムズ」のデイビッド・ブルックスと思いっきりかみあわなかったりすることはある。

 ウッドラフは1冊回顧録を出しているが、アメリカのメディア業界紙が彼女を取り上げることは少ない。ウッドラフにその仕事術を質問した記事があれば、読んでみたい。

Why I blog

ニューヨークの主としてメディア・エンタテインメント業界について、そして時々ファッション・不動産について、思いつくままに書いてみようというのが、このブログの趣旨である。特に私はタイムズスクエアが好きなので、ニューヨークタイムズ社やブロードウェイに関する話題が多くなると思う。

今さらながらブログを始めるのは、いくつか理由がある。

第1は、これまでに執筆した原稿のアップデート情報の提供。

第2は、取材して記事にするほどの余裕がないテーマについて記すこと。どなたかが取材して記事を書いてくださると嬉しい。

第3は、自分で論文や新聞・雑誌記事にしたいが、いろいろな事情でまとめることができずにいる雑感である。ニューヨークにはこういう側面もあるというご紹介である。

したがって、このブログは私のプライベートについて記すものではない。マニアックなブログと思われる方もあるかと思うが、もしご関心のある方がいらっしゃったらおつきあいいただけたら幸いである。

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